都内のある泌尿器科にて

風俗客なら、他の風俗客の考えていることぐらい分かる。

オレは病気になんか感染しないだろう

という妄想的観測だ。そう信じているのではない。そう信じたい。リスクは認識しているけど、強引にその認識をねじ伏せている。

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問題を悪化させているのは、風俗嬢側にもそういう手合いが多いことだ。昔、ある若いソープ嬢に聞いたことがある。

「ゴム無しでして病気は恐くないのか?」

「検査行っているから大丈夫だよ」

毅然と言われた。タチが悪いのは、本人も「検査」と「予防」の違いくらい分かっていることだ。そこまでバカじゃない。分かっているくせに、無理やり自分の中で折り合いをつけてしまっている。

今回はそういう話。

この類の記事を書くのは普段の数倍勇気が要る。風俗ブログを書いている方なら「勇気が要る」の意味が分かるだろう。風俗の体験を書くことと、病気のリスクについて書くことが矛盾した行為に思えるのだ。あるいは、矛盾と指摘されるのが怖いのだ、この「子供のクレーム社会」において。

長いので数回に分けて書く。シリーズ第一弾は、この「都内のある泌尿器科に行ったときの話」。

実は年末に都内の泌尿器科に行った。「バージンセブン」に行って1週間ほど経ったある日、トイレに行ったら、僅かに一滴分くらいのガマン汁が出ていた。透明で粘り気のあるいつものガマン汁に見えた。

我慢もしていないのに、ガマン汁とは?

チンコ親父はシカトである。普段なら「オイ、チナスキー・・・」とかいって講釈たれるくせに。

クラミジアや淋病の菌は喉からペニスという経路でも感染する。痛みや痒みはなかったが、答えが見つからなかったので病院に行った。

行ったのは泌尿器の専門で、都内の雑居ビルの中にある小さな診療所だった。平日の昼だった。狭いエレベーターに私を含め4人の男達が乗っていた。全員同じフロアに降りるらしい。

嫌な予感がした。

エレベーターのドアが開いた瞬間、それが的中したのが分かった。

病院は、入り口に何人もの人の影が見えるくらい、ごった返していた。エレベーターから降りた4人の男達は私を先頭に、その病院に一列になって入った。「ルイーダの酒場」に行ったときのことを思い出した。

ドアを開けてみると、小さな待合室にざっと数えて20~30人ほどの患者。

女が3人いる以外、すべて男である。しかも、全員きちんとした格好をしたビジネスマン風の20代~40代くらいの男達。すし詰め状態。

病院の待合室というと、普通は子供連れの母親とか、じーさん、ばーさんが元気なくベンチに座っているイメージだ。マスク率も高い。子供だけが大きな声を出している。

その病院の風景はまるで違った。

そこにいた男達は、皆とても元気そうだった。いかにも外回りの途中、って感じの身なりの良いビジネスマン達。マスクは2、3人くらいしかいない。背景をそのまま風俗の待合室に置き換えられそうだった。

そんな男率の高い病院も、人口密度の高い待合室も初めてだった。

風俗客は、そして多分風俗嬢も、病気に感染する可能性から目を背けたくなるものだ。そんなのは、遠い世界の話と強引に信じたくなる。

彼らは頭を抱えて髪を掻きむしりたかったはずだ。

オレの人生のレールにヒニョーキカなんて存在しないんだ!!なのに、なんでこんなことにぃ!!!

多分―と私も思いたかった。

チンコというのは、病気にかかる部位としては割とメジャーな部位で、喉、鼻、胃腸、チンコぐらいの序列なんだろうと。「すぐに悲鳴をあげちゃう器」なんだろうと―確かに喜怒哀楽が激しい。だから実は日常的にこれくらい混んでいるのだ。

でも、泌尿科にかかっている人の話って聞いたことないな。それにこの待合室の人口ピラミッドは、日本のそれとかけ離れている。2013年ってもう立派な高齢化社会だったはずだ。

やっぱりこう思わずにいられなかった。

「諸君も最近風俗行ったクチか?」

彼らに聞きたかった。

「はい、じゃーみんな下向いて、目をつぶって。」

「今月、ソープ行った人、挙手。えぇっと、1人、2人、3人・・・はい、下ろしてー」

「じゃー、デリヘル呼んだ人。手上げて。そこっ!まだ顔を上げない!」

仮に彼らの5割が性病にかかっていたとしよう。それでも大流行状態じゃないか(因みに、エイズはパンデミックとされているらしい)?休み前ということもあるのだろうが、あの混み具合だと、他の時間帯も他の日もそこそこ患者がいそうだ。

一度、泌尿器科に検査に行くと実情が分かると思う。風俗に行ったことを医者に告げて、同じような患者がどれくらいいるのか聞いてみるといい。今なら年始にお土産をもらった患者が多いと思われる。私のように現実の一端を見ることができるだろう。

あなたが気になっているその3人の女性だが、ひとりは若い水商売風、ひとりは若くて地味な女、もうひとりは中年女だった。3人がどういう経緯でその病院に来たのか、私には知る由はない。だが、女性専門の病院ではなく、あんな小さく男だらけの診療所にいたことから、彼女達もそれなりに切羽詰った状況にあったのだろう。少なくとも居心地の悪さを感じていることだけはヒシヒシと伝わってきた。

因みに私の場合、

「オシッコはキレイで大丈夫そうですが、キレイでも感染していることもあるんで、一応検査しておきますね。お電話くれたら結果をお知らせしますよ」

と言われ、後日、電話でクラミジア、淋病のどちらも陰性だったと告げられた。

彼らは私とは縁のないピンサロかヘルスの客なんだと思いたかったが、そう断定できる理由は見つからなかった。むしろ彼らの身なりの良さから、(料金の高い)ソープ客も多いと推測するのは、ズレた考えではなさそうだ。

3 件のコメント

  • べいおさん
    病気体験のお話ありがとうございました。
    「感染印」が額にあるわけではないですから、怖いですよね。
    女性は自覚症状がほとんどないとくると、もうお手上げです。
    お互いに健康に遊べるように祈りましょう。
    チナスキー

  • "ななし"さん、
    コメントありがとうございました。
    >嬢と共に病院に行きましたよ。
    いい関係を持っているんですね。
    客と一緒に病院に行ける嬢、嬢と一緒に病院に行ける客がもっと多いといいんですが。
    チナスキー

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